icon_concept
コーヒーのトレンドは水の使い分けへ。バリスタが語る「水とコーヒー」の面白い関係とは
INTERVIEW5

コーヒーのトレンドは水の使い分けへ。バリスタが語る「水とコーヒー」の面白い関係とは

2021.09.30 | 藤岡 響
サードウェーブコーヒーの代名詞的な存在であるブルーボトルコーヒーでトレーナーを務め、数々の有名カフェをプロデュースしてきたバリスタの藤岡響さん。抽出に関する幅広い知見をお持ちの藤岡さんに、コーヒーと水の関係についてお話を伺いました。
bubble
bubble

バリスタの技量によって、味だけではなく体験の質も変わる

――  藤岡さんがバリスタの道を歩まれるようになったきっかけを教えてください。
「今から16年ほど前、映画館併設のカフェで働き始めました。当初はバリスタになろうというつもりは全くなかったのですが、そこにたまたま最新式のエスプレッソマシンがあり、コーヒーをもっと美味しく淹れたいと思うようになったのがきっかけです。その頃はエスプレッソの淹れ方について書かれた書籍もほとんどなくて、コーヒーは独学で学びました。ラテアートを練習したりするうちに徐々にコーヒーの味がわかるようになり、味わいを探求するようになりました。スペシャリティーコーヒーを出すお店もほとんどありませんでしたが、どうやったら美味しく抽出されるのか、逆になぜコーヒーが美味しくなくなってしまう現象が起こるのかといったことを模索する日々でした」
―― そもそも、コーヒーの美味しさはどのような成分から成り立っているのでしょうか?
「糖類、有機酸、クロロゲン酸、カフェインなどが主な成分で、そのバランスによって味は変わります。そのほか、数え切れないほど微量な成分が含まれており、後味や香り、のどごし、口当たりといった差に繋がります」
―― 口当たりまで変わるんですか?
「大会などではマウスフィールと呼ばれていますが、これも美味しさを形作る要素のひとつです。シロッピー、スムース、バターのような、薄い、粗い……など、様々な表現で評価されます」
―― なるほど。香りはどのような違いがありますか?
「深く焙煎された香ばしさがいい香りとされていましたが、ここ数年で特徴的な香り、複雑な香りなどがもてはやされ、高品質な豆が持つ特徴的な香りを活かし、浅く焙煎する手法が流行になりつつあります。花のようなフローラルな香りやストロベリーのような甘い香りも増えていますね」
―― まるで研究者のように探求し続けなければ、バリスタは務まらないでしょうね。
「そうかもしれません。いくら良い品質の豆を使っていても、ちょっとしたことで美味しくなくなりますし、抽出方法や技術は常にアップデートしないといけません。また、単純に風味を追求するだけではなく、接客を伴うことでお客様の体験の質まで変えられることも、バリスタという職の魅力の一つ。お客様の好みや、どんなシチュエーションで飲みたいのか、急いでテイクアウトしたいのか……といった、その時々の状況に応じて最高の体験を提供できるよう、心がけています」

バリスタ界のトレンドは“水”へ

―― 風味のほか、コーヒーの抽出方法にもトレンドがあるのでしょうか?
「ええ、あります。ここ数年のトレンドは“水”で、バリスタチャンピオンシップの世界チャンピオンも水に着目しており、中には研究機関と水の研究をし始めている人もいます」
―― 水質によって、コーヒーの味が変わるんですか?
「はい。コーヒーの98%は水ですから、いつも通りの淹れ方をしていても、土地、すなわち水質が違うだけで味が変わります。でも、面白いことに純水で淹れてもあまり美味しくならないんです」
―― それは不思議ですね!
「純水では美味しくないという結果から、水のミネラルバランスが重要なことがわかってきました。味わいがどのように変わったか、濃度計で抽出成分を分析することもありますし、こだわるお店の中にはカルシウムやマグネシウムを調整した水を使うといったチャレンジをしているところもありますね」
―― 具体的に、水の差によってどのような味の違いが生まれますか?
「お店で使う水はある程度ミネラル分を残した浄水が多いのですが、それに比べると水道水はパキッとした味になりやすいです。一方で過剰なカルキやミネラルは雑味にもつながってしまいます。TRIM ION Refineを試用したところ、電解水素水は抽出力が高く、豆特有の風味や質感を感じやすく、嫌な雑味がありませんでした。また、同じ濃度で抽出しても口当たりに重みが出ました」
―― 電解水素水で抽出するだけで、そんなに変わるものなんですね。
「いわゆる硬水と呼ばれるミネラル分が豊富な水、とくにマグネシウムが多すぎる水だと抽出されにくい、苦みばしる、フルーティーさが出ない、口当たりがドロドロした感じなどデメリットも多いのです。かといって軟水の日本で浄水器を使うと、今度は有益なミネラルも取り除いてしまう可能性もあります。ですから整水器で作った電解水素水は非常にバランス良く感じられました」

水の使い分けができる整水器「トリムイオン」の多様さ

―― そのほかに、整水器を使ってみて感じたことはありましたか?
「電解水素水、酸性水、浄水と3種の水を切り替えられる点が、用途別に使えるので便利でした。酸性水は器具の洗浄に使ってみたのですが、油分やミネラル汚れもすっきり落ちるのが良いですね。通常、器具にこびりついたミネラル汚れは専用の薬品でつけ置き洗いしているのですが、酸性水だけでも十分に落ちたと感じられました。本体がコンパクトでキッチンに置いても邪魔になりませんし、手軽に使えそうですよね」
―― 電解水素水を使った、おすすめの淹れ方はありますか?
「抽出の早さを活かし、水出しコーヒー(コールドブリューコーヒー)はいかがでしょうか。寝る前に、水筒やポットに電解水素水とコーヒー粉を入れるだけと非常に手軽に淹れられます。電解水素水なら成分が抽出されやすいので、粉の挽き方はあまり細かくなくても大丈夫です。水出しだと苦みが少ないので、コーヒーが苦手という方にもぜひ試していただきたいです」
―― 最後に、藤岡さんがこれから目指したいことを教えてください。
「日本ではもともとコーヒーは舶来ものであり、嗜好品の志向が強いもの。ライフスタイルの中でコーヒーが求められているのは、それだけコーヒーが豊かな時間に欠かせないからではないでしょうか。ですから、自分のベストを押しつけるのではなく、お客様の好みやシチュエーションに合わせ、コーヒーを楽しむ時間を提案していきたいですね。また、今は時勢的に喫煙不可のお店がほとんどなものの、“喫茶”という言葉があるように、その場にいること自体がリラックスできる瞬間という要素も大切だと思います。料理とコーヒーのペアリングや、コーヒーの最先端を気軽に共有できる場づくりなどを通じ、コーヒーを楽しむ文化や嗜好性を高め、より多くの方の“幸せな時間”に寄与できればと考えています」
藤岡 響(ふじおか ひびき)

バリスタ

アルバイト先で出会ったエスプレッソマシンに興味をひかれ、バリスタとしてのキャリアをスタート。パンとエスプレッソ、café kitsuneの立ち上げなどに従事した後、2015年にブルーボトルコーヒーの日本出店に参画、バリスタの育成に携わる。2019年春にコーヒーと日本茶を提供する茶廊「Satén japanese tea」をオープン。2021年よりフリーランスとして独立し、レシピ提案、コーディネート、プロデュースまで幅広い活動を行う。
SNS SHARE
  • LINE
  • facebook
  • twitter